2007年716 原初の神々について 

カオス(混沌)から、ガイヤ(大地)、エロ−ス()、ニュクス(夜)、エレポス(暗黒)などの原初の存在が生まれた。ガイアは、まず、星々を抱いた天空、ウラノスを生んだ。ガイアは、ウラノスを自分と等しく雄大なものに生んだので、ウラノスは彼女を覆いつくした。ついで彼女は高い山々と、波の美しく響きあう “不毛の海”ポントスを創り出す。宇宙はでき上がったが、まだ住む者がなかった。そこでガイアは、息子ウラノスと交わり、最初の種族ティータン神族を生んだ。彼らは十二神で六神が男神、オーケアノス、コイオス、ヒュペリオン、クリオス、
イアペトス、クロノス、六神が女神、テイア、レア、ムネモシュネ、ポイベ、テテュス、テミスであった。
次にウラノスとガイアはキュクローブ族を生んだ。キュクローブ族は他の神々に似ていたが、額の中央に目が
1つしかなかった。最後に彼らは三匹の怪物を生んだ。怪物は、肩から百本の無敵の手が伸び、力あふれる
四肢の上に背から五十個の頭が生えていた。それゆえ、ヘカトンケイル族(ギリシャ語で百の手を持つ者の
意味)と呼ばれた。


ウラノスは、子どもたちを見て恐怖を感じ、子どもが生まれると大地の深みに閉じ込めてしまった。(好色なウラノスを憎み、夫婦仲は冷え切り、家族は独裁者の父に憎しみを募らせていたとも。)ガイアの嘆きは夫に対する復讐心に変わり、鋭い鉄の鎌を、末子の抜目なく野望に満ちたクロノスに与え、寝殿に潜ませた。クロノスは
ウラノスが油断し眠っている間に鎌を使いウラノスを去勢し、血まみれのものを海へ投げ込んだ。
断片は波に漂い、崩れて白い泡となり、そこから、若い女神アプロディーテーが生まれた。またこの時、恐ろ しい傷口から黒い血がしたたり、大地(ガイア)にしみ込み、恐るべき怒りの女神たち(エリーニュス)、巨大な怪人たち(ギガース)を生んだ。

Raphael,Return of Galatea

ガイアの息子であり同時に夫でもあるウラノスは、星がきらめく空である。ギリシャでは彼は全く信仰の対象に
ならなかったようだ。“空”と“大地”の概念は、原初的な二体の神と考えられ、すべてのインド、ヨーロッパ民族に
共通のもので、不滅の夫婦、世界の祖父母と呼ばれていたようだ。

 ティータン神族は最初の神族で、兄弟姉妹そろってよく似ていたと言われているが、はっきりした個性は
伝わっていない。ギリシャでは人間の祖先として讃えられ、技術や魔術の発明は彼らによるものとされた。
 キュクローブ族は、プロンティース(雷鳴)、ステロペース(雷光)、アルゲース(落雷)で、彼らの名前が示す
とおり、嵐の精であった。 ヘカトンケイル族(百の手を持つ者)も三者で、コットス(怒り)、ブリアレオース(活力)
ギュエース(大きな手足を持つもの)であった。 ガイアとウラノスの子ども、ティータン、キュクローブ、
ヘカトンケイルは、荒れ狂う自然の力の象徴であったともいえる。

尚、ウラノスUranusに由来するのが天王星(ユレイノス)、クロノスCronusに由来するのが土星(サターン)

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